文書の後編集(Gemini)
2026-11-05 に書きました。このサイトの文書の日本語を読みやすくするため、Gemini に後編集(書いた後の文の手直し)を頼む方法を考えてみました。書き手は人でも AI でもかまいません。まずは 1 ページで試してみました。[試し] は、実際に動かしてみた結果です。
結論
- 役割を分けます。内容と判断は書き手が、日本語の読みやすさは Gemini が、公開についてはページの公開を決める人が受け持ちます。
- Gemini には文字だけを直させます。タグやコード、見出し、リンクは、送る前に ⟦番号⟧ の印に置き換えておきます。そのため、Gemini には文だけが見えるようになります。
- 答えは機械で確かめます。印の並びや数、英数の語(型番や G コード)、「推定」や「未確認」などの確かさの語、文の長さを比べます。ここが大事なところですが、1 つでも外れた節は使いません。
- 最後は、書き手が見比べて決めます。意味が動いてしまった所は元に戻します。また、Gemini が「分かりにくい」と言った所は、元の文を書き手が直します。
- 公開にも配慮します。Gemini へ送る前に、公開してはいけない語が無いかを道具で調べます。送るのは、公開する文書だけにしています。
- [試し] リジッドタップの使い方(12 節)で、指示を 2 回直してみました。3 回目は 12 節すべてが機械の確かめを通り、直した所は 52 か所になりました。書き手が全部読んでみましたが、意味の動いた所はありませんでした。
1. 手順

- まず、書き手が文章を書きます。内容や数値、出典を決めて、確かさの印(推定、未確認、[原典] など)を付けます。
- 次に、道具を使って公開してよいか調べます。会社名や人の名前、サーバーの名前、トークンなどの止める語があれば、そこで処理を止めます。止める語の表は、公開しないファイルに置いておきます。というのも、語そのものが公開してはいけない情報だからです。
- 続いて、道具を使って印に置き換えます。タグやコード(pre、code)、見出し、リンクを ⟦番号⟧ にします。
- そして、Gemini で日本語を直します。見出し(h2)ごとに送ります。答えは JSON で受け取ります。中身は、直した文と、意味が分かりにくくて直せなかった所の気づきです。
- さらに、道具を使って機械で確かめます。もし外れていたら、理由を付けて 1 回だけ頼み直します。それでも外れたら、その節は元のままにしておきます。
- ここから、書き手が見比べて決めます。消した字を赤、足した字を緑にした見比べを全部読みます。
- 最後に、書き手が書き込みます。読んだあとに別の人がページを直していたら、サイトの書き込みの窓口が断ります。これは、その人の直しを消さないためです。公開のページは、書き込むと数十秒で公開サイトに出ます。大きな直しをするときは、先にページの公開を決める人に一言伝えておくと安心です。
- 公開の印は、公開を決める人が付けます。新しいページには、公開を決める人が印を付けます。
2. なぜ役割を分けるか
| 受け持ち | 理由 |
|---|---|
| 内容と判断は書き手 | 数値や出典を調べたのは書き手です。Gemini は前の調べで、出典のない数値を出したことがあります(リジッドタップの使い方 の 5 節)。そのため、Gemini には事実を足させないようにしています。 |
| 日本語は Gemini | 日本語の文を読みやすくするのが得意です。別の目で読んでくれるので、書いた本人が気づかない分かりにくさも見つけてくれます。 |
| 守りと確かめは道具 | 数や型番が 1 字変わっただけでも、人の目では見落としやすいものです。機械なら見落としません。 |
| 公開は公開を決める人 | 世界に公開されるものなので、出すかどうかは人が決めます。 |
3. Gemini への指示
指示は毎回同じものを送ります(システムの指示)。要点は次のとおりです。
- まず、文は短くし、1 つの文に 1 つのことを書きます。分かりにくい語順や、重なった言い方を直します。
- 文体は、です・ます調にします。読む人に語りかけるような、やさしい口調にしています(道具の --tone desu)。いずれ AI も読むようになりますが、今は人に読んでほしいからです。流れをつなぐ短い言葉は足してもよいですが、事実や数値は足しません。古い常体のページを、常体のまま直すこともできます。
- やさしい言い方を保ちます。和語を漢語に詰めないようにします(「比べ」を「比較」に、「反転のとき」を「反転時」に、「確かめる」を「確認する」にしません)。
- 和文と英数字の間の半角の空白は消しません。
- 意味は変えません。事実、数値、単位、型番、記号、式もそのままにします。新しく足したり、削ったりもしません。
- 確かさの語と [原典] などの印は残し、係る文から離さないようにします。
- 専門の言葉は言い換えません(索引、行き過ぎ、下穴、有効径 など)。
- ⟦番号⟧ の印は、全部同じ順番で残します。
温度(答えのばらつき)は 0.2 にしました。モデルは gemini-pro-latest です。
4. 機械の確かめ
| 確かめること | 防ぐこと |
|---|---|
| ⟦番号⟧ の並びが同じ | タグが壊れる。表や箇条書きの形が変わる |
| 数の集まりが同じ | 数値が変わる、消える、増える |
| 英数の語の集まりが同じ | 型番、G コード、信号の名前が変わる |
| 確かさの語(推定、未確認、見込み、仮定、原典、計算 など)が減っていない | 確かでないことが、確かなように書き換わる |
| 長さが元の 0.6〜1.4 倍 | 大きく削る、大きく書き足す |
| 止める語が無い(2 段目と同じ調べ) | Gemini の直しで、公開してはいけない語が入る |
- 和文と英数字の間の空白は、Gemini が消してしまっても、道具が元に戻してくれます。
- 見出しとリンクの文字は印の中にあるので、節の名前、ページの題、出典の題は変わりません。
- これらは形の確かめであって、意味の確かめではありません。数を変えずに意味を変えることもできるので、6 段目の書き手による見比べは省きません。
5. 試しの結果
リジッドタップの使い方(12 節)で 3 回試してみました。このページの書き手は AI(Claude)です。見比べも同じ書き手が読みました。[試し]
| 回 | 変えたこと | 機械の確かめ | 書き手の判断 |
|---|---|---|---|
| 1 | 最初の指示 | 10 節は通りました。しかし、2 節は印の並びと英数の語が変わってしまったので、元のままにしました | 文の終わりに「だ」が多く付きました。また、和文と英数字の間の空白が消えてしまいました。「反転のとき」が「反転時」に、「比べ」が「比較」になるなど、言い方が硬くなりました。 |
| 2 | そこで、文体の指示を足しました。空白は道具を使って戻します。外れたら 1 回頼み直すことにしました。 | 12 節すべてが通った | 文体はよくなりました。ただし、2 か所で意味が変わってしまいました。「仮定。…未確認」の括弧が慣性の値から離れたことと、「非常停止になり、タップが穴に残る」の因果関係が 2 つの文に切れたことです。 |
| 3 | 見出しとリンクも印にした | 12 節すべてが通った | 52 か所を全部読んでみました。意味が変わった所はありませんでした。2 回目の 2 か所も正しく直っていました。 |
3 回目でよく直った例です。
| 前 | 後 |
|---|---|
| M3〜M8 は常用、M10 は短い時間なら使える、M12 以上はスレッドミル。 | M3〜M8 は常用する。M10 は短い時間なら使える。M12 以上はスレッドミルを使う。 |
| …とすると、0.6 N·m 程度で、最大 11 N·m に比べて小さい。 | …とすると、トルクは 0.6 N·m 程度になる。これは最大 11 N·m に比べて小さい。 |
| ねじの精度と振れは落ちる。 | ねじの精度が落ち、振れも大きくなる。 |
| 同期の問題がなく、効くのは XY の円の正確さと工具のたわみで、どちらもねじの公差より小さいか、後から合わせられる。 | 同期の問題はない。影響するのは XY の円の正確さと工具のたわみ。どちらもねじの公差より小さいか、後から合わせられる。 |
- 3 つ目は、元の文の誤り(振れが「落ちる」)を Gemini が直した例です。意味は元の考えのとおりです。
- Gemini の気づきです。「I2 で戻ると、上の反転では 2 倍になる」の「上の反転」が何を指すか分かりにくいというものでした。そのため、書き手が元の文を「開始の高さでの反転」に直しました。
- 3 回目の結果は、そのページに入れました。
- かかった時間は、1 ページ(約 2 万字)で数分でした。
このページ自身も、です・ます調への後編集(--tone desu)で書き直しました。[試し]
- 1 回目は、表の見出しのセルまで「受け持ちです」「確かめることです。」のような文になってしまいました。そこで、表の見出しと、句点の無い短いセルは、印の中に入れて守るようにしました。
- 2 回目は、口調はやさしくなりました。ただ、書き手が 5 か所を戻しています。確かめる項目のセルが「〜は減っていません。」のような言い切りになった所、見比べの例として引いた文まで です・ます になった所、結論の箇条に「まず」「次に」が付いて手順のように読めた所などです。
- そのため、「」の中や、例として引いた文は変えないように、指示に書き足しました。
6. 公開への配慮
- このサイトは世界に公開されています。そのため、会社名、部署名、人の名前、取引のことは書かないようにしています。また、サーバーの名前やつなぎ方、トークンも書きません。
- メーカーの図面やカタログ、販売ページの画像は添付しません。図は自分で描くようにします。引用は短くして、出典を付けます。
- 確かめていない数値には「未確認」や「推定」と書きます。危ない作業については、誤解されないような書き方にします。
- 止める言葉の表は、公開しない場所に置いておきます。道具は、その表と、IP の番地やトークンの形などの決まった形で調べます。
- Gemini へ送るのは、公開する文書だけにしています。というのも、Gemini の API は、使う枠によっては送った内容がサービスの改善に使われることがあるからです(規約によります。今の枠の扱いは未確認です)。公開する文書なら、送っても問題になりません。
- 書き手が AI のときは、この決まりを作業の前に必ず読む手引きに書いておきます。
7. 不確かな点
- 同じ指示を出しても、Gemini の答えは毎回少し変わります。そのため、毎回、見比べを読んでいます。
- また、モデルが新しくなると、文章の癖も変わります。今回の指示は gemini-pro-latest で決めました。
- 表のセルの中にある短い語句は、直しすぎてしまうことがあります(ただし、試しにやってみたときは問題ありませんでした)。
- なお、費用は測っていません。