主軸プーリーの強度計算
モーター側の 25T プーリーをアルミにしてよいかを、ピークトルクで確かめる。結論:強度は足りる。注意はキーのガタと歯の摩耗。 実機では未確認の試算。
条件
| 項目 | 値 | 根拠 |
|---|---|---|
| ピークトルク T | 11.13 N·m | A6-RS1000 |
| 定格トルク | 3.18 N·m | A6-RS1000 |
| 軸径 d | 19 mm | A6-RS1000 |
| キー | 6×6(モーター側は B6×6×25) | A6 のマニュアル |
| 穴側のキー溝の深さ t2 | 2.8 mm | 6×6 の一般的な寸法 (未確認:現物で測る) |
| キーのかかる長さ L | 20 mm | プーリー幅 20 を仮定 |
| プーリー | 25T、5 mm ピッチ | 減速比 2:1 の案 |
| 中心距離 | 200 mm | 仮定。噛み合い歯数の計算のみに使う |
1. キー溝の面圧

- キーの力:F = T ÷ (d ÷ 2) = 11130 N·mm ÷ 9.5 mm = 約 1172 N
- アルミが受ける面積:A = t2 × L = 2.8 × 20 = 56 mm²
- 面圧:p = F ÷ A = 1172 ÷ 56 = 約 21 MPa
力は軸の表面で計算したので、やや大きめに出る。
| 場合 | F | p |
|---|---|---|
| 定格 3.18 N·m、L 20 | 約 335 N | 約 6 MPa |
| ピーク 11.13 N·m、L 20 | 約 1172 N | 約 21 MPa |
| ピーク 11.13 N·m、幅 15 で L 15 | 約 1172 N | 約 28 MPa |
材質は不明なので、アルミの降伏点を低めに 100 MPa と仮定する。安全率は 100 ÷ 21 = 約 4.8。6061-T6 級(約 240 MPa 以上。一般的な値)なら約 11 になる。
2. キー自体のせん断
τ = F ÷ (キー幅 × L) = 1172 ÷ (6 × 20) = 約 10 MPa。鋼のキーには十分小さい。
3. ベルトと歯の力

- ピッチ径:25 × 5 ÷ π = 39.8 mm、50T は 79.6 mm
- 張り側とゆるみ側の力の差:Fe = T ÷ (39.8 ÷ 2) = 11130 ÷ 19.9 = 約 559 N
- 噛み合い角:180° − 2 × asin((79.6 − 39.8) ÷ (2 × 200)) = 約 168.6°
- 噛み合い歯数:25 × 168.6 ÷ 360 = 11.7 なので約 11 歯
- 均等に分担すると 1 歯あたり 559 ÷ 11 = 約 51 N
- 偏って 3 歯で受けると仮定しても 559 ÷ 3 = 約 186 N。歯高 2 mm(一般的な値、未確認)× 幅 20 mm の 40 mm² で約 4.7 MPa
歯の強度よりも、切粉や粉じんによる摩耗が先に問題になる。ベルト自体の許容力は、幅と銘柄が決まってからカタログで確認する。
結論と対策
- キー溝の面圧と歯の面圧は、アルミの強度に対して小さい。
- リジッドタップは正転と逆転を繰り返すので、キーにガタがあると溝を叩いて広げる。ガタはタップの同期と定位の誤差にもなる。はめあいを確かめ、止めねじでキーを押さえる。
- ベルト周りにカバーを付ける。
- モーター側は最高 6000 rpm と高速で、安い品のバランスは不明。試運転で振動を確かめる。
- ガタや摩耗が出たら鋼製に換える。プーリーの交換だけで済む。