構成を選んだ理由
形式と主な部品を、なぜこれにしたかをまとめる。数値の根拠は 部品の計算 と 構造解析の計算書。
形式:下面の開いた門型
- 大きな溶接品(最大 750×715×330 程度)に穴をあけたい。品物を機械へ運ぶより、機械を品物に載せる方が早い。
- 下面を開けた門型なら、製品の上に治具で載せられる。小物は架台の上で加工する。
- 外形は収納の都合で 1000×800。主軸の届く範囲 656×456 で、640×450 の穴の並びが 1 回で届く。
- 機械の重量は 200 kg 程度に抑える。250 kg のホイストで吊る。
- 反力は機械、治具、製品の順に戻るので、治具のクランプは穴の近くに置く。枠を歪ませないよう、支持はシムで合わせる。
骨組み:板を曲げて組む
- 鉄の溶接は本業なので自作する。溶接は必ず歪むので、溶接、応力除去、取付面の外注加工、ガイドの組付けの順に作る。
- 角パイプと同じ硬さで、板を曲げて組むと 4 kg 軽い。板厚を場所ごとに選べる。チャンネルは同じ硬さなら重く、開いたままの梁は使えない。
- 取付面は、薄い鋼管を削らず、平鋼を溶接してそれを削る。
- 台も鋼にする。アルミは切粉が鉄と混ざるので加工しない。解析で振動に問題がないことを確かめた(鋼 t12 で最低の固有振動数 70 Hz、アルミ t25 で 72 Hz)。
案内:手持ちのローラガイド
- 手持ちの IKO LRXDG30 を使う(箱の表示 LRXDG 30 C4 R4892 SL S1 E585)。4892 mm のレールとブロック 4 個のセットが 4 組あり、必要量(レール 4.29 m、ブロック 12 個)より多い。
- 記号の読み:G はロング、SL はステンレス、S1 は互換性仕様。予圧の記号がないので、予圧は「ゼロ又はわずか」。E585 はカタログの表になく、メーカーに確認する。
- カタログの値:H 45、W 60、L 134、質量 1.18 kg。レール幅 28、高さ 28、5.01 kg/m、ピッチ 80。C 53,200 N、C0 96,700 N。
- 剛性の値はカタログにないので、200 N/µm を仮定した。ガタと一緒に 測って確かめる。
主軸:ベルト駆動の BT30 ヘッド
- 高速カートリッジ型でなく、動力なしの BT30 ヘッドをサーボで回す。低速のトルクが要る穴あけとタップに向く。
- 軸受はアンギュラ玉軸受のものを選ぶ。深溝玉軸受のヘッドは軸方向の剛性が低く、振れの表記も大きい。
- 候補は HLTNC の ATC BT30(外径 φ90、フランジ φ126、引込力 280 kg、5M-50T)。受領後に振れを測る。シリンダは付属しないので別に用意する。
- サーボは A6-RS1000(1 kW、220 V)。2:1 で定格 6.36 N·m、最高 3000 rpm。φ12 のドリル(2.4 N·m)と M10 のタップ(5.3 N·m)が定格に入る。
- 穴あけのスラストはホルダをテーパへ押し込む向きなので、引込力とは比べない。問題になるのは軸受の軸方向の容量(未確認)。
送り:ボールネジとクローズドループのステッピング
- 早送りは 3 m/min で十分なので、高価なサーボは要らない。
- X は左右 2 本で押す。ガントリーのねじれを抑えるため。梁 800 に対してブロックの間隔が 200 と短い。
- ボールネジは全部ダブルナットで予圧する。フライスのダウンカットで食い込まないように。
- モーターはベルトで 2:1 に減速して折り返し、1000×800 に納める。
工具交換
- 最初から BT30 の自動工具交換を前提に作る。ラックが完成するまでは手で交換してよい。
- 定位はサーボの位置指令で行う。2:1 なら主軸の角度が 180° おきの 2 通りになるので、ドライブキーが対称なら成り立つ。3:1 などは主軸側にセンサが要る。
ねじ加工
| 方法 | 必要トルク | 向く場面 |
|---|---|---|
| スパイラルタップ(リジッド) | M8 約 3.0、M10 約 5.3 N·m | 止まり穴、M10 まで |
| スレッドミル | 小さい | M14 など大径、穴の縁にかかる位置 |
振動の注意
- 固有振動数は 70 Hz 付近からなので、2 枚刃で 約 2100 rpm 付近を避ける。φ12 の 1250 rpm(42 Hz)とは離れている。
- 送りの低速(φ12 で 87.5 mm/min)では、ステッピングの脈動とローラの摩擦によるびびりに注意する。
- フライスは軽い加工に限る。試験の順序:SS400 の薄い溝、スレッドミル、面削り。